DAF(ドナー・アドバイズド・ファンド)とは?日本版DAFの現在地
DAF(Donor-Advised Fund、寄付者助言基金)とは、まず公益団体に寄付をして自分名義の基金を作り、そこからどの団体を支援するかは、あとから時間をかけて決められる仕組みです。寄付した時点で税制優遇の対象になる一方、支援先選びを急がなくてよい。「寄付するタイミング」と「支援先を決めるタイミング」を分けられることが、DAFの最大の特徴です。
仕組み:お金は財団のもの、選ぶ権利は寄付者のもの
DAFでは、寄付されたお金の法的な所有権は、受け皿となる公益団体(スポンサー団体)に移ります。寄付者の手元に残るのは、「この団体を支援したい」と意向を伝える助言の権限です。最終的な決定権はスポンサー団体にありますが、実務上は寄付者の意向を尊重して助成が行われます。
基金には自分や家族の名前を付けられ、後継者を指名して次の世代に引き継ぐ設計も可能です。この点で、DAFは「手軽に持てる、自分のファミリー財団」に近い性格を持ちます。
米国では約100年の歴史、日本では2026年が元年
DAFは米国で1930年代から続く仕組みで、1990年代以降に金融機関との連携で急速に普及しました。2023年時点の米国DAFの総資産は数十兆円規模に達し、市民の寄付インフラとして定着しています。
日本では、パブリックリソース財団と三井住友信託銀行が2025年12月に協定を結び、2026年6月に日本初の本格的なDAF「DAFあらた」の運用が始まりました。政府の「新しい資本主義」実行計画にも日本版DAFの導入検討が明記されており、寄付の新しい選択肢として動き始めたところです。
「DAFあらた」に見る日本型の設計
DAFあらたの公表情報からは、米国型とは異なる日本ならではの設計が読み取れます。
| 項目 | DAFあらた(日本) | 米国の一般的なDAF |
|---|---|---|
| 始める金額 | 500万円から | 基金ごとに設定(法令上の下限なし) |
| 支援先の範囲 | 審査を経た認証団体の中から選ぶ | 税法上の適格団体なら広く選べる |
| 寄付できる資産 | 現金のみ | 株式・不動産などの現物も可 |
| 意向表明 | 年1回の期間に行う | いつでも何度でも |
支援先を認証団体に限定しているのは、寄付が実質的に元の寄付者に還流するような使われ方(いわゆるトンネル寄付)を防ぎ、寄付の公益性を守るためです。制約はありますが、そのぶん支援先の信頼性が担保された設計といえます。
DAFが向いている人、別の器が向いている人
DAFが特に合うのは、「まとまった資金を社会に回すと決めているが、支援先はじっくり選びたい」という人です。退職金や事業売却、相続などでまとまった資金ができたタイミングで基金を作り、数年かけて支援先を見つけていく、という使い方ができます。
一方、支援したい団体がすでに決まっているなら直接の寄付や遺贈寄付が、独自の助成プログラムを自分で設計したいなら冠基金や公益信託が向きます。器ごとの比較は寄付の器の選び方にまとめました。
よくある質問
- 寄付したお金を取り戻せますか?
- できません。DAFへの寄付は取り消し不可で、お金はスポンサー団体に帰属します。だからこそ寄付の時点で税制優遇の対象になる、という表裏の関係です。
- 運用で増えることはありますか?
- DAFあらたでは、寄付金は投資信託で運用され、元本と運用益から助成が行われます。ただし運用成果は保証されず、増えない可能性もあります。
出典・一次情報(確認日:2026年8月28日)
本記事は2026年8月28日時点の公開情報に基づく一般的な解説であり、特定の商品・サービスへの勧誘や投資助言ではありません。条件や税制の適用は変わることがあります。検討の際は必ず各運営団体の最新情報と専門家にご確認ください。公益信託.comは株式会社KAKUKATAが運営する民間サービスであり、記事中の団体から対価を得て推薦を行うものではありません。
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