相続財産を寄付すると相続税はどうなる?非課税特例(措置法70条)の基本

相続や遺贈で受け取った財産を、相続税の申告期限(原則、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)までに国・地方公共団体や一定の公益法人などへ寄付した場合、その財産は相続税の課税対象に含めない特例があります。根拠は租税特別措置法70条です。「故人の想いをくんで、遺産の一部を社会に」という寄付を、税制が後押ししてくれる仕組みです。

特例が使える3つの条件

国税庁タックスアンサーNo.4141の整理に沿うと、柱になる条件は次の3つです。

  1. 寄付する財産:相続や遺贈で取得した財産そのものであること(受け取った不動産を売って現金で寄付すると、原則この特例の対象から外れます)
  2. 期限:相続税の申告期限までに寄付を済ませること
  3. 寄付先:国、地方公共団体、または教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる特定の公益法人(独立行政法人、社会福祉法人、認定NPO法人など法令で定められた範囲)であること

申告の際には、寄付先が発行する受領書など、寄付を証明する書類を相続税の申告書に添付します。

対象にならない主なケース

使えるはずと思い込んで進めると危ないのが、この特例の落とし穴です。次のようなケースは対象になりません。

  • 申告期限を過ぎてからの寄付
  • 相続した不動産を売却し、その代金を寄付した場合(財産そのものの寄付ではないため)
  • 寄付先が特例の対象法人に当たらない場合(一般のNPO法人や任意団体など)
  • 寄付によって寄付者やその親族の税負担が不当に減る結果になると認められる場合

また、この特例は相続税の話です。相続した不動産や株式を現物のまま法人へ寄付する場合には、別途みなし譲渡所得課税という論点があり、こちらは不動産・株式の寄付で解説しています。二つの税金は別の話として、それぞれ確認が必要です。

「遺言による遺贈」との違いも押さえておく

この記事で扱ったのは、相続人が受け取った財産を自分の判断で寄付するケースです。一方、故人が遺言で直接団体に遺贈した財産は、そもそも一定の公益法人等が受け取るものであれば原則として相続税の課税対象になりません。生前に自分で決めておくなら遺言による遺贈、家族が想いをくんで動くなら相続財産からの寄付、と入り口が異なります。全体像は遺贈寄付とはをご覧ください。

使うためのチェックリスト

確認することポイント
寄付先は特例の対象か寄付先に「措置法70条の対象か」を直接確認する。証明書類の発行可否も聞く
期限まで余裕はあるか申告期限の直前は手続きが集中しがち。遺産分割の状況もふまえ早めに動く
財産をそのまま寄付できるか現金はそのまま、不動産等は受け入れ可否と課税の両面を確認する
税理士に相談したか適用可否の最終判断と申告書類の準備は、相続税に詳しい税理士へ

本記事は2026年8月28日時点の公開情報に基づく一般的な解説であり、税務アドバイスではありません。特例の適用可否は個別の事情によって異なります。実行の前に、必ず国税庁の一次情報を確認し、税理士等の専門家にご相談ください。公益信託.comは株式会社KAKUKATAが運営する民間サービスであり、国・地方自治体の公式サイトではありません。

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