不動産・株式を寄付するには?みなし譲渡課税と非課税特例の基礎知識
「使っていない土地を社会のために」「保有株の一部を寄付したい」。現金以外の財産を寄付したいという相談は年々増えています。ただし現物の寄付には、現金にはない2つの壁があります。ひとつは税金(みなし譲渡所得課税)。もうひとつは、受け入れ先の少なさです。この記事では、壁の正体と、非課税に至る道筋の基礎を解説します。
壁1:寄付なのに「売った扱い」になる、みなし譲渡所得課税
個人が不動産や株式を法人に寄付すると、税法上は「時価で売った」ものとみなされます。買ったときより値上がりしていれば、その含み益に対して譲渡所得税がかかるのです。お金を受け取っていないのに、税金だけが発生する。これが現物寄付の最初の壁で、善意の寄付が思わぬ負担になりかねません。
非課税への道:国税庁長官の承認(措置法40条)
この課税には、非課税にする道が用意されています。公益法人などへの寄付で、一定の要件を満たすことについて国税庁長官の承認を受けた場合、譲渡所得税は課税されません(租税特別措置法40条)。基本の要件は、寄付が公益の増進に著しく寄与すること、寄付財産が原則2年以内に公益目的事業に直接使われること、寄付者やその親族の税負担を不当に減らす結果にならないこと、の3点です。
手続きを軽くする「承認特例」
通常の承認審査は時間がかかりますが、公益社団・財団法人など一定の法人への寄付では、簡素化された承認特例が使えます。承認申請書を提出してから1か月以内(株式などの場合は3か月以内)に不承認の決定がなければ、承認があったものとみなされる仕組みです。この特例を使うには、寄付財産を法人の「一定の基金」に組み入れる方法で管理するなどの条件があり、先行する財団では現物寄付の受け皿となる基金をあらかじめ用意している例もあります。
壁2:そのままでは受け取れない団体が多い
税金の問題を整理できても、受け入れ先の問題が残ります。不動産の管理や売却には手間とリスクが伴うため、現物のままの寄付を受けられる団体は限られているのが現実です。財産の種類ごとに、実務上の確認ポイントが異なります。
| 財産 | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 不動産 | 売れる物件か(立地・状態の査定)。売却して公益に使う前提の設計が中心になる |
| 上場株式 | 保有割合、議決権の扱い、売却のタイミングが株価に与える影響、企業側との調整 |
| 非上場株式 | 流動性がない中での評価、議決権、そして配当の継続性。配当が止まると公益目的事業への活用が滞り、税務上の問題が生じうる |
だからこそ、現物寄付は「寄付先に打診してから設計する」が鉄則です。受け入れ実績のある財団・大学基金や、専門家(税理士・弁護士)を交えて、寄付の形を一緒に組み立てていくことになります。
遺贈で現物を渡したい場合は、さらにひと工夫
遺言で不動産を団体に遺贈する場合、受け取れない団体だと放棄されてしまい、想いが実現しません。売却して現金化したうえで寄付する形(清算型遺贈)にする、受け入れ可能な先を生前に確認しておく、といった設計が必要です。詳しくは遺贈寄付とはをご覧ください。また、相続人が相続した現物を寄付する場合は、相続税の非課税特例とみなし譲渡の両方を確認する必要があります。
検討の順番(まとめ)
- 寄付したい財産と想いを整理する(この段階では売却も選択肢に残す)
- 受け入れられる寄付先候補に早めに打診する
- 税理士に、みなし譲渡・非課税承認・相続税の各論点を確認する
- 寄付先・専門家と一緒に、寄付の形(現物か換金か、時期、手続き)を設計する
出典・一次情報(確認日:2026年8月28日)
本記事は2026年8月28日時点の公開情報に基づく一般的な解説であり、税務アドバイスではありません。非課税承認の可否や課税関係は個別の事情によって大きく異なります。実行の前に、必ず国税庁の一次情報を確認し、税理士等の専門家と寄付先にご相談ください。公益信託.comは株式会社KAKUKATAが運営する民間サービスであり、国・地方自治体の公式サイトではありません。
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財産の種類と想いから、検討の順番を整理します。